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『敬語の指針』より ― 言葉は変化するもの

前回お話した謙譲語Ⅰ・Ⅱや美化語のように、『敬語の指針』では、これまで敬語として誤っていた使い方を、新しい言い方として容認しているものがあります。
ビジネス会話の勉強をしていると、必ず出てくるフレーズの1つに、「とんでもございません」があるのではないでしょうか。
多くのビジネスマナー本では、この「とんでもございません」は、誤った言葉遣いだと書かれています。
「とんでもない」で1つの言葉なので、正しくは、
『とんでもないことでございます』
になるということなのです。
しかし恐らく、多くの人には大げさに聞こえるこの言葉を、いったい誰が誰に対して、どのような場面で使うのか…なかなか想像がつかないものではないでしょうか?
自分が相手に言われたときも、ビックリしてしまいそうです。
『敬語の指針』では、
「部長からいい仕事をしたと褒められ、『とんでもございません』と答えた」
という場面が例として挙げられています。
そしてこの使い方について、
「相手からの褒めや賞賛などを軽く打ち消すときの表現であり、現在では、こうした状況で使うことは問題がないと考えられる」
と、OKサインが出ているのです。