指示・依頼の言い方「していただく」

指示・依頼の言い方「していただく」

53号、54号では「自分の行動」に対して使う「させいただく」について取り上げました。
今回は「相手の行動」についての「していただく」、つまり、指示や依頼をするときについてお話ししたいと思います。

電話を保留にする前に「ちょっと待ってほしい」と伝える、という場面を例に、いくつかの言い方を見比べてみましょう。

 1)待ってください
 2)お待ちください(くださいませ)
 3)お待ちいただけますか(ますでしょうか)
 4)お待ちいただいてもよろしいですか(よろしいでしょうか)

後半になるほど、より丁寧な印象ですね。
3番や4番は「いただく」を使って、「できますか?(可能かどうか聞く)」「いいですか?(許可を求める)」と言うことにより、丁寧な話し方になっています。

ただし、4番が一番丁寧だから、最も良いというわけではありません。
場にそぐわない使い方や、事務的で無表情な話し方をすれば、単に型にはめているだけで押しつけがましい、と感じる方もいらっしゃるでしょう。
これでは、55号でお話しした「謙遜的傲慢」と同じになってしまいますね。

『敬語の指針』でも、このようなケースが取り上げられています。

『「それ、取ってもらってもいい(ですか)」「こちらの書類に書いていただいてもよろしいですか」というような言い方をよく耳にする。「取ってちょうだい」や「取ってください」「書いていただけますか」に比べると、何だか回りくどい言い方に聞こえてしまう。 』

そして結論として、

「指示や依頼が簡潔にできる状況であれば、こうした回りくどい印象を与える表現は用いない方が良いだろう」

と述べています。

確かに、「お待ちいただいてもよろしいでしょうか」は最も丁寧な言い方です。
しかし、相手に「よろしいでしょうか?」とお伺いを立てていては、話が頓挫してしまうような場合もあると思います。
そのような時には「お待ちくださいませ」と短く言い切っても、失礼にはあたらないでしょう。