指示や依頼をするときには、「~してください」「~していただきたい」の他にも、依頼の言い方として「お願い」という言葉を使うこともありますね。
こちらも、電話を保留にする前の言い方で考えてみましょう。
1)お待ち願います
2)お待ち願えますでしょうか
3)お待ちくださいますようお願いします
4)お待ちくださいますようお願いいたします
5)お待ちくださいますようお願い申し上げます
「いただく」だけが丁寧な言い方なのではなく、ストレートに「ください」を使った方が的確な場合もあります。
また、「お願いします」をつけたり、 「~ますか」「よろしいですか」を使うなど、依頼の表現は多岐にわたることが分かりますね。
例えば、54号で挙げた文章ですが、
「このあとにFAXでお送りする書類をご確認いただきましたら、ご署名の上、ご返信いただけますでしょうか。ご返信いただきました書類を拝見しまして、お電話いたします。」
この中には、「確認してほしい」「署名してほしい」「返信してほしい」という依頼が3つ入っています。
このように依頼する内容が続く場合は、同じ語尾にならないようにしたほうがよいでしょう。
また、極力不要なものを省いて、一番大切なことが確実に伝わるよう、表現を工夫したいものです。
「このあとにFAXで書類をお送りしますので、ご署名の上、ご返信くださいますようお願いします。ご返信後、こちらからお電話いたします。」
話の内容やその場の状況、相手との関係などによって、何が最善か見極め、自然な言葉づかいを心がけたいものですね。『上司の地位を考える』
地位の異なる上司に対し、「自分の上司である」という理由で、全員同等レベルの敬語を使うのは誤りです。上司間の地位の上下を考慮し、敬語のレベルの強弱をつける必要があります。
『役職の順位を知る』
一般企業で多く使われる役職としては、会長(取締役会長)、社長(代表取締役社長)、副社長(代表取締役副社長、取締役副社長)、専務(取締役専務、代表取締役専務)、常務 (取締役常務)、監査役、執行役員、本部長または事業部長、部長、次長、課長、係長、主任。その他にも最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)、局長、所長、主任研究員、主査、主事、マネージャー、チーフ、リーダーなどがあります。
どのような呼称を使うかは企業の自由であり、役職による権限や責任も様々なため、自分の会社の役職の順番をしっかりと把握することが大切です。
『敬語の強弱』
では、具体的に敬語の強弱とはどのようなものでしょうか。
たとえば、「来る」という言葉。これは尊敬語では、「お見えになる」「おこしになる」「いらっしゃる」「来られる」の4つの言い方があり、この4つの中で、敬意をあらわす度合いの順位をつけるのであれば、お見えになる → おこしになる、いらっしゃる → 来られる という順なります。考え方としては、上位の上司に対しての強い敬語は、「お(ご)~なる」「~いらっしゃる」で話し、下位の上司に対しての弱い敬語は「~れる」 「~られる」と覚えておくと、よいでしょう。
敬語は秘書としての基本ですが、大変難しいものです。日々の会話の中でも、「今の会話を敬語にするなら・・・」と考えながら、敬語を身近なものにしていくと、話しやすいかもしれません。